この経験を分かち合いたくて…。

朝

掃除をするために、2階へ上がろうとふと見上げると、壁にある黒一点に目がいきました。

吹き抜けの真っ白な美しい塗り壁にはり付くそれが虫であろう事は一瞬でわかりました。

隣のトリプルガラスの大きな窓からは、青い空と日の光が降り注ぎ、暖かく幸せなのどかな朝をつくり出していたのに…。

なんという違和感なものがここにいるの？もう冬ですよ？

答えは解っています。週明け清掃業者が入りずっと窓を開けていたので侵入したのでしょう。

虫も居心地の良い場所を知っているのでしょうか。

でも、そこ？

それでもまだ虫かどうかは解りません。一応疑い想像します。

枯葉が飛んでくっついた？完全空調なのにそれはないね。

誰か食べ物を口に入れたままくしゃみして吹き出した？パンかな？それなら仕方ないね。

逃避という想像をしながら、誰か助けに来ないかな？中途半端に届く場所に居やがるし自分がやるしかないか。と解決策も考えます。

何せこの虫であろうものは動いてくれないと何者か解らない。もしかしたら触れた途端10倍に膨らんでこっちに飛び掛ってくるかもしれないじゃない？

もしくは間違えて潰したら中から緑色の血と100匹の子供が出てくるかもしれないじゃない？

そんな情景見たくないし、掃除が何倍も大変になるわ。

だから慎重に始末しなければならないの。

生きたまま吸い込むしかない。

刀を握り、いざ出陣！の意気込みで掃除機を握ります。

気配を殺して静かに位置につく。標的が止まっているのを確かめたうえ、背伸びしながら掃除機を持ち上げ、吸い込み口を近付けます。

触れてはいけないギリギリの所で固定！掃除機のスイッチをON！

あ！吸った？

あ？足？足が塗り壁にはり付いたまま踏ん張ってる～！塗り壁！なんでザラっとしてるんだよー！掃除機吸引力足りなーい！でもがんばるー！

よし、吸った！吸ったぞ！

…全身鳥肌もんでした。

しかし戦いはまだこれから。

掃除機に吸われた彼はどうなった？

幸いにも中の見える掃除機。

あ？

これは？

蜘蛛か？

蜘蛛だ。動いてる！

生きてる！すごい！ごめん！でも蜘蛛きらい！

複雑な気持ちでバチバチ写真撮ってました。

かわいそうに死ななかったのですね。

でも出してあげる勇気はもう無いの…。ごめんなさい。

苦しめてはかわいそうなので殺虫剤を吸い込み口から入れてみました。（危ないが）

でも全然元気です。彼。

見守るのも飽きたので、逃げていかないよう穴塞いで終わり！

これで戦いは終わりました。

どうでしょう、分かち合えたでしょうか。

見学に来た際は現場もお教えしますよ！

この掃除機のゴミは支店長に捨ててもらおっと！

…子供100匹出てきたらどうしよう…

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